2019 セミナー受講レポート(1)
今年受講したセミナーで興味深く感じた内容を数回に分けてご報告します。
まず今回(1)でご報告するのは、
日本弁理士会関西会主催「パテントセミナー2019」
大阪 応用編 第1回 2019年10月19日
テーマ:意匠法大改正その内容と予想される実務
~デザインがブランド化する時代に向けて~
講師:弁理士 松井 宏記 先生(レクシア特許法律事務所)
です。
来年にかけて施行が予定されている改正意匠法についてのお話でした。
意匠権の存続期間が長くなるなど重要な改正点が多いのですが、私が驚いたのは
不動産である建築物も意匠で保護されるようになる!という点です。
その昔、弁理士試験の勉強をしていたころ、意匠の定義を、
「意匠」とは、物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。
「物品」とは有体物である動産を指す、と呪文のように唱えて覚えたものですが、
改正法では『不動産』も物品に含まれるようにするのか?と思ってしまいました。
答えは;
物品の定義を広げるのではなく、「空間デザイン」という新たな保護対象を追加するとのことでした。
空間デザインですから、建築物の外観だけではなく内装やオフィスの什器のレイアウトのようなものも対象となるようです。
一方で・・・、
意匠の審査の実務上は、建築物の意匠を現行法でも事実上認めているのでは?、と思われる事例の紹介もありました。
例えば次の意匠登録です。
【意匠に係る物品】は、建築物だと不動産になってしまうので「組立家屋」となっています。工場でパーツを製造し、現場で組み立てるものという扱いなのでしょう。
また、【意匠の説明】には「重量物につき、底面図は省略する。」とあります。
たしかにこの意匠の「底面」が人の目に触れることはないから不要でしょうけど・・・。
と、いろいろ興味深いセミナーでした。
※上記意匠の登録に疑問を呈したり異議を申し立てる意図は全くございません。
(1)以上