【関西だより】イケフェス大阪2025
『生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)』(※)が、10月25日(土)・26日(日)の2日間にわたって開催されました。
(※)今も生き生きとその魅力を物語る建築物を「生きた建築」と呼んでいます。
今年も大阪市を中心に大阪府内の約200の施設が公開されました。通常は内部見学のみを目的とした立入ができない建物、オフィス、店舗などについて、建物所有者の方などの好意ご協力によって、見学ができるイベントになっています。
一部の施設や特別ガイドツアーなどは事前申し込みが必要ですが、多数の施設は当日自由に見学ができます。事前にHPや公式ガイドブックで対象施設をチェックし、当日巡るルートを計画される方も多いようです。
今回見学した建物の一部をご紹介します。
1.大阪市役所本庁舎
2.King of Kings
3.青山ビル
4.ルポンドシエルビル[大林組旧本店]
※昨年の「イケフェス大阪2024」の記事はこちら
1.大阪市役所本庁舎
建築年:1982年(1期)/1985年(2期)
花崗岩が用いられ重厚な外観の大阪市庁舎です。今回訪れた時は、関西万博の閉幕に伴い、「寝そべりミャクミャク」のモニュメントが、万博会場内から正面玄関(西玄関)前に移設されていました。

今回、特別公開されたのは正面玄関ホールの2階ギャラリーです。白の螺旋階段を上がると、玄関ホールを三方から見渡すことができます。吹き抜けの天井に輝くシャンデリア、精巧なステンドグラスを間近で見ることができました。




正面玄関ホール(1階)は普段も入ることができ、建物内には旧市庁舎のステンドグラスの一部が飾られています。機会があればぜひ立ち寄ってご覧ください。
◆大阪市役所本庁舎 大阪市北区中之島1-3-20
2.King of Kings (大阪駅前第1ビル)
建築年:1970年
大阪万博と同じ1970年にオープンした喫茶・ウイスキーバーです。JR大阪駅から地下街でつながっている商業ビルにあり、同じフロアには姉妹店の喫茶「マヅラ」があります。

壁一面のガラスモザイクは入口の左右で異なり、店内に差し込む光は幻想的です。丸みをおびたソファなど、レトロなインテリアは開店当時からほぼ変わっていないそうです。


バーカウンターのある部屋に入ると、落ち着いた雰囲気に変わります。カウンターの後ろに並ぶ陶器のボトルは、手作りのため少しずつ形が異なるそうです。ボトルキープされたウイスキーが1本ずつ並ぶ木製の棚や、使い込まれた灰皿など、歴史を感じさせる場所でした。


◆King of Kings 大阪市北区梅田1-3-1 大阪駅前第1ビルB1F
3.青山ビル
【国登録有形文化財】建築年:1921年
大正10年に実業家・野田源次郎氏の個人邸宅として、大林組の設計施工で建てられました。スパニッシュスタイルの外観を覆い尽くす蔦は、先代の青山氏が甲子園から株分けされたものだそうです。


イタリア製ステンドグラスや、色とりどりのガラス窓、ねじり細工の階段てすりなど、館内の随所に大正時代の面影が残っています。



ビルは少名彦神社(神農さん)の敷地と接しており、居室の窓からは社殿や鳥居が見えました。
1階にはオムライスの人気店「北極星」があり、クラシックな雰囲気で食事を楽しむことができます。
◆青山ビル 大阪市中央区伏見町2-2-6
4.ルポンドシエルビル[大林組旧本店]
建築年:1926年/ 2007年(耐震補強工事)
建設会社・大林組の旧本店で、大正15年に自社の設計・施行で建てられました。2007年に耐震補強工事が行われ、2022年まで大林組の子会社が営む仏料理店「ルポンドシエル」が入居していました(現在は移転)。
茶色の外観には全面にスクラッチタイルが貼られ、入口の白いアーチ部分には彫刻が施されています。


階段の手すりは優美な曲線を描き、柵の部分はよく見ると「ねじれ」の向きが交互になっています。エレベータ上部のレリーフなど、随所に細かな細工が残っていました。


1階の部屋では、大林組が開発した「スーパー板壁」の1/1模型や、仏料理店の名残である「ワインセラー」が展示されていました。
◆ルポンドシエルビル[大林組旧本店] 大阪市中央区北浜東6-9
『生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪について』
生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)は、毎年秋の週末に、大阪の魅力ある建築を一斉に無料で公開する日本最大級の建築イベントです。
https://ikenchiku.jp/ikefes2025/
*サイトでは、公開対象の建物リスト等のプログラムが閲覧できます。
建築分野・土木分野の特許調査を承ります
弊社は、家屋やビルなど建築物に関する特許調査を行っております。
建築物の構造、天井や壁・床などの建築部材、空調や管理システムなど、建築や土木分野に関する特許調査(先行技術調査、侵害予防調査、無効資料調査、動向調査)をお考えの方は、お気軽にお問合せください。
<調査実績>
支持構造、遮音構造、施工方法、気密構成部材、床下空調、温度制御方法、輸送システム、維持管理システム、ガラス建材、耐震防火を目的とした建築材料、樹脂素材、など。