【関西だより】くすりの神さま
大阪の道修町(どしょうまち)は江戸時代に薬問屋が集まり発展し、現在も多くの製薬会社・薬品会社が建ち並ぶ「くすりの町」として知られています。
その大阪を代表するビジネス街、ビルの谷間にひっそりと鎮座しているのが少名彦(すくなひこ)神社です。日本と中国の医薬の神さま(少名彦命、炎帝神農)をお祀りし、「神農(しんのう)さん」の愛称で呼ばれています。
*少名彦命(すくなひこなのみこと)
医薬・まじない・温泉・酒造の神など多彩な能力を持つ神様です。大国主命(おおくにぬしのみこと)とともに
二神で国造りをされたと言われており、一寸法師のモデルといわれるほどの小さなお姿をしています。
*炎帝神農(えんていしんのう)
古代中国の伝承に登場する三皇五帝の一人で、人々に医療と農耕の術を教えたといわれています。
医薬の祖として漢方薬業者などに広く信仰されています。
神社の入口は通り過ぎてしまうような間口ですが、数多くの奉納提灯や絵馬が捧げられ、薬や医療関係者に携わる人々から信仰されている様子がうかがえます。境内の一角には神前祈願された各メーカーの家庭薬が並ぶコーナーもあり、見慣れたもの懐かしいもの、様々な商品のパッケージを見ることができます。
毎年11月に開かれる神農祭では、笹に「張子の虎」とお札をつけた病避けのお守りが授与され、無病息災を願う人々で大変な賑わいをみせます。当日は企業のキャラクターが勢ぞろいするほか、2023年は阪神オリックス優勝パレードと神農祭の日程が重なり、同じ「虎」繋がりで、阪神ファンも多く訪れ話題となりました。
*張子の虎
江戸末期の大阪でコレラ(虎狼痢)が流行した際、虎の頭骨などの和漢薬を配合した「虎頭殺鬼雄黄円
(ことうさっきうおうえん)」が作られました。病名と薬に「虎」の字が当てられていたことから、商人
らが丸薬と共に「張り子の虎」のお守りを配ったことで、病避けのお守りとして広まったそうです。
少彦名神社は、大阪メトロ又は京阪電車の北浜駅から歩いて2~3分です。
お近くにいらした際は、家内安全・無病息災を願い、お参りされてはいかがでしょうか。
◆少名彦神社 〒541-0045 大阪府大阪市中央区道修町2-1-8
(*少彦名神社「ご由緒」、Wikipedia「スクナビコナ」「神農」から引用)