【関西だより】イケフェス大阪2026
10月24日(土)・25日(日)の週末を中心に、『生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)2026』が開催されました。
(※)今も生き生きとその魅力を物語る建築物を「生きた建築」と呼んでいます。
期間中は建物の公開だけでなく、バックヤードを見学できる特別ガイドツアーや、建築家など専門家の方の解説を聞きながら巡るプログラム(「北新地まち歩きツアー」「北船場の村野藤吾ツアー」など)もあり、人気のプログラムには数倍の抽選申込があるようです。
また、設計事務所16社・建設会社6社による連携企画「セッケイ・ロード」「ゼネコン・ロード」も同時開催され、建築やまちづくりに携わる人々、現場の裏側に触れられる良い機会となっています。
今回見学した建物の一部をご紹介します。
※昨年の「イケフェス大阪2025」の記事はこちらから。
1.江戸堀コダマビル[旧児玉竹次郎邸]
【国登録有形文化財】建築年:1935年
1935年(昭和10年)に、ワイシャツ地やハンカチ、輸出用綿布を扱う綿布商の児玉竹次郎氏の邸宅として竣工されました。本邸宅を設計・施工した岡本工務店は当時ウィリアム・M・ヴォーリズの建築も手掛けていたことから、スペイン瓦の使用などスパニッシュ様式の影響が見られるそうです。

建物内部には日本の伝統的な建築モチーフもみられ、和洋折衷のデザインとなっています。




現在1階には、グランドピアノを設置した本格的な音響特性を備えたレッスンホールが設けられ、文化サロンのような場として活用されています。また3階には児玉家の藏に保管されていた生活雑貨などを展示する「大正・昭和の家庭用品展示室」があり、見学できるようになっています。
◆大阪市西区江戸堀1-10-26
2.大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)
建築年:2000年
世界的な建築家・黒川紀章氏の設計で建てられ、「大きな立方体」が重なるイメージから「グランキューブ」の愛称がつけられました。
6本の太い柱で支えられ、2階・4階・9階の途中階は全体を「メカニカルウェハー」として電気や空調などの設備機器の置き場とすることで、柱の無い大空間(イベントホール)を実現しています。


なお、この会議場は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行時に、自衛隊によるワクチン接種会場として使用されました。

今回は特別なバックヤード見学ツアーに参加しました。
2階の端にあるエレベーター、この扉に描かれた模様はバーコードで「大阪府立国際会議場」を表しているそうです。
当日は全部屋が使用されていたため会議室・ホールの見学は出来ませんでしたが、貴賓室を見学できました。木目基調の落ち着いた雰囲気の部屋は、皇族の方がいらしたときに待合として利用され、窓は防弾ガラスとのことでした。


また、普段は立ち入ることができない、高さのあるステージ装置・自動車などの重量物も搬入可能な大型エレベーターや、空調ダクトや配管など設備機器が綺麗に収められた機械室(メカニカルウエハー)を間近で見学できました。限られた敷地の中で、エレベーターやドアの配置を工夫することで、空間を有効に利用することができる等、イベントを支える裏側を知ることができました。

最上階の12階にはドーム型の特別会議場があり、屋上がヘリポートとなっています。約100段の階段を上ると、360度、周囲を一望できる空間が広がっていました。当日は曇り空でしたが、高層ビルの間から大阪城やあべのハルカスがうっすらと見えました。
屋上の外側にある2基の赤い弓形はアンテナで、以前は国際会議の開催時に生駒山に向けて電波を発信していたそうです。現在は衛星通信が利用できるため、アンテナとしての役目は少なくなっており、地上からも見える特徴的なオブジェとしての意味合いが強いようです。


◆大阪市北区中之島5-3-51
3.日本基督教団 大阪教会
【国登録有形文化財】建築年:1922年
ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計で、大正11年に竣工された赤煉瓦造りのプロテスタント教会です。1945年(昭和20年)の大阪大空襲でも焼失することなく、今年で104年目を迎えたそうです。

正面玄関上部の丸いバラ窓が印象的で、礼拝堂の内側から見上げると、バラ窓から光が差し込こみ厳かな雰囲気を醸し出しています。バラ窓の右手前にはパイプオルガンが設置され、礼拝体験の時間にその音色を聴くことができました。

祭壇に向かって並ぶ椅子も当時から使用されており、滑らかな曲線を描くように1枚板が加工されたものだそうです。艶のある背もたれ、木のぬくもりは100年を超えて長く大事にされている様子がうかがい知れました。
鮮やかな色彩のキリストと羊をモチーフにしたステンドグラスは、二代目とのことです。


◆大阪市西区江戸堀1-23-17
『生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪について』
生きた建築ミュージアムフェスティバル大阪(イケフェス大阪)は、毎年秋の週末に、大阪の魅力ある建築を一斉に無料で公開する日本最大級の建築イベントです。
長いときを刻んだ歴史的な建築から、斬新なデザインの現代建築まで、あの建築家の名作から、昭和の雰囲気を色濃く残す街場の喫茶店まで、大阪という都市の魅力を様々に物語る200を超える「生きた建築」が、一斉にその扉を開きます。
*サイトでは、公開対象の建物リスト等のプログラムが閲覧できます。
https://ikenchiku.jp/ikefes2026/
建築分野の特許調査を承ります
弊社は、家屋やビルなど建築物に関する特許調査(出願前調査、侵害予防調査、無効資料調査、動向調査など)を行っております。
建物の構造、天井や壁・床などの建築部材、空調や管理システムなど、建築に関する特許調査をお考えの方は、お気軽にお問合せください。
<調査実績>
支持構造、遮音構造、施工方法、気密構成部材、床下空調、温度制御方法、輸送システム、維持管理システム、ガラス建材、耐震防火を目的とした建築材料、樹脂素材、など。