• コラム
  • 身近な商品の特許について(業務スーパー「おいしさ長持ち 太うどん」)

     最近、食材の値上げのニュースをよく耳にします。そこで、低価格で高品質の商品を取り扱う「業務スーパー」をよく利用しています。なかでも「おいしさ長持ち 太うどん」という商品の食感がよく何度もリピートしています。
     パッケージには製法特許第6038371号と記載されています。

     今回はこの特許を紹介します。

    ◆出願人:株式会社神戸物産
    ◆発明の名称:包装済み茹で麺の製造方法及び製造機

    ◆課題要約:麺の変性がなく、食味の保持され、菌汚染が生じず、切断されにくく、かつ、麺のコシや食感が良い包装済み茹で麺。製造時の水使用量と排水量を大幅に削減。

    ◆解決手段要約:茹でた麺のぬめりをチラー水で洗い流し、pH調製水に浸漬、麺を包装容器に充填密封。包装容器ごと麺芯温が6℃~10℃になるまで冷却。前記処理をボイル槽由来の略飽和状態の水蒸気存在下にて行う。

     従来、茹で麺は澱粉質の変質により十分な強度やコシを出すために、大量の冷水で茹でた麺のぬめりを洗浄しながら冷却します。

     一方、本特許では水使用量を削減するためにチラー水での洗い流し工程とpH調製水への浸漬工程のみに留め、すぐに包装容器ごと冷却することが製法のポイントのようです。本特許製法の麺は、予想外にも従来製法のもと比べて破断強度が強く、茹でた麺の澱粉質を冷水下で変質させていないことが従来と異なると考察されています。

     水使用量の削減から出発し、麺のコシや食感が改良に辿り着いたようで意外な印象を受けました。
     実施例に記載されている長期保存時の破断強度が、食感と保存性の実証となり今後も安心して購入できそうです。